ダイヤモンド選びの重要な基準の一つが「クラリティ(透明度)」です。VVS、VS、SIなど、聞き慣れない記号が並び、「どのグレードを選べばいいの?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
千葉・稲毛のアキラジュエリーでは、お客様一人ひとりに最適なダイヤモンドをご提案しています。本記事では、クラリティの基本から、肉眼で見えるかどうかの境界線、カラット別のおすすめグレードまで、実例を交えて詳しく解説します。
クラリティ(Clarity)とは
ダイヤモンドの透明度を評価する基準
クラリティとは、ダイヤモンド内部や表面にある「内包物(インクルージョン)」や「傷(ブレミッシュ)」の有無・程度を評価する基準です。ダイヤモンドは天然の鉱物であるため、形成過程で微細な内包物が入ることがあります。
これらの内包物は、ダイヤモンドの「個性」とも言えるもので、完全に無傷のダイヤモンドは極めて稀です。クラリティグレードは、10倍の拡大鏡で観察した際に、内包物がどの程度見えるかを基準に評価されます。
内包物(インクルージョン)とは
ダイヤモンドの内部に閉じ込められた微細な結晶、気泡、亀裂などを指します。主な種類には以下があります:
- ピンポイント: 微細な黒い点状の内包物
- クラウド: 雲のように見える微細な内包物の集まり
- フェザー: 羽根のように見える微細な亀裂
- クリスタル: 他の鉱物の結晶
なぜクラリティが重要なのか
クラリティは、ダイヤモンドの美しさと輝きに影響を与える要素の一つです。ただし、カットやカラーと比べると、クラリティの影響は比較的控えめです。
理由は、多くの内包物は肉眼では見えないほど微細だからです。特にVS2以上のグレードでは、ほとんどの場合、内包物を肉眼で確認することはできません。
クラリティグレードの分類
クラリティは11段階に分類されます。上から順に見ていきましょう。
| グレード | 名称 | 特徴 | 希少性 |
|---|---|---|---|
| FL | Flawless (フローレス) |
10倍拡大でも内包物・傷が見つからない | 極めて稀 |
| IF | Internally Flawless (インターナリーフローレス) |
内部に内包物なし。わずかな表面の傷のみ | 非常に稀 |
| VVS1 | Very Very Slightly Included (ベリーベリースライトリーインクルーデッド) |
10倍拡大でも発見が非常に困難な内包物 | 稀 |
| VVS2 | 10倍拡大でも発見が困難な内包物 | 稀 | |
| VS1 | Very Slightly Included (ベリースライトリーインクルーデッド) |
10倍拡大で発見がやや困難な内包物 | やや稀 |
| VS2 | 10倍拡大で発見できる微細な内包物 | 比較的一般的 | |
| SI1 | Slightly Included (スライトリーインクルーデッド) |
10倍拡大で容易に発見できる内包物 | 一般的 |
| SI2 | 10倍拡大で簡単に発見できる内包物 | 一般的 | |
| I1 | Included (インクルーデッド) |
肉眼で内包物が見える可能性がある | 多い |
| I2 | 肉眼で内包物が見える | 多い | |
| I3 | 肉眼で内包物がはっきり見える | 多い |
「アイクリーン」の境界線
肉眼で見えるか見えないかの分かれ目
ダイヤモンド業界では、「アイクリーン(Eye Clean)」という重要な概念があります。これは、肉眼で内包物が見えない状態を指します。
一般的に、VS2以上のグレードは「アイクリーン」とされています。つまり、専門家でも肉眼では内包物を確認できないレベルです。SI1グレードも、多くの場合アイクリーンですが、内包物の位置や種類によっては、注意深く見ると見える場合があります。
アイクリーンの目安
確実にアイクリーン: VVS2、VVS1、IF、FL
ほぼアイクリーン: VS1、VS2
多くの場合アイクリーン: SI1
個体差あり: SI2(場合により肉眼で見えることも)
肉眼で見える: I1以下
カラット数によるアイクリーンの変化
重要なポイントとして、ダイヤモンドのサイズが大きくなるほど、内包物も目立ちやすくなります。
サイズ別のアイクリーン基準
0.3〜0.5ct: SI1でも多くの場合アイクリーン。SI2でも内包物が目立たないことも
0.5〜0.7ct: VS2以上が安心。SI1は個体による
0.7〜1.0ct: VS2以上がおすすめ。SI1は注意深く確認を
1.0ct以上: VS1以上が理想的。VS2でも十分美しい
カラット別おすすめクラリティグレード
ここからは、ダイヤモンドのサイズ別に、バランスの良いクラリティグレードをご紹介します。
小さめサイズ(0.2〜0.3ct)
おすすめグレード: SI1〜VS2
このサイズでは、内包物が非常に目立ちにくいため、SI1でも十分美しく見えます。VS2なら確実にアイクリーンで、安心してお選びいただけます。
ポイント: 小さいサイズでは、クラリティよりもカットの品質を優先することで、より輝きのあるダイヤモンドになります。
標準サイズ(0.3〜0.5ct)
おすすめグレード: VS2
婚約指輪で最も人気のあるサイズ帯です。VS2は、バランスと美しさを兼ね備えた理想的なグレードです。確実にアイクリーンで、SI1よりも安心感があります。
ポイント: このサイズなら、SI1でも多くの場合問題ありませんが、VS2を選ぶことで長期的な満足度が高まります。
やや大きめ(0.5〜0.7ct)
おすすめグレード: VS2〜VS1
0.5ctを超えると、内包物が少し目立ちやすくなってきます。VS2以上なら確実に美しく、VS1ならさらに安心です。
ポイント: SI1を選ぶ場合は、実物を確認して、内包物の位置や種類をチェックすることをおすすめします。テーブル面中央に内包物がない個体を選びましょう。
大きめサイズ(0.7〜1.0ct)
おすすめグレード: VS1〜VVS2
1.0ctに近づくと、ダイヤモンドの存在感が増し、細部も見えやすくなります。VS1以上なら、どの角度から見ても完璧な透明度を楽しめます。
ポイント: このサイズでは、VS2でも十分美しいですが、将来的な価値や満足度を考えると、VS1やVVS2という選択肢もあります。
特大サイズ(1.0ct以上)
おすすめグレード: VVS2〜VVS1
1.0ct以上の大きなダイヤモンドでは、すべての要素が際立ちます。VVS2以上なら、専門家でも内包物の発見が困難なレベルで、完璧な透明度が保証されます。
ポイント: VS1でも美しいですが、このサイズの投資を考えると、VVS2という選択は長期的な満足度と価値の維持につながります。
クラリティと他の4Cのバランス
カットとクラリティの関係
優れたカット(3EXやExcellent)は、内包物を目立たなくする効果があります。理由は、強い輝きと光の反射が視線を引きつけ、内包物から注意をそらすためです。
そのため、クラリティで多少妥協しても、カットの品質を優先することで、全体的な美しさは維持できます。例えば、VS1×Very GoodよりもSI1×3EXの方が、実際には美しく見えることもあります。
4Cの優先順位(一般的な例)
1位: カット - 輝きの決定要素
2位: カラー - 見た目の白さ
3位: クラリティ - 透明度(VS2で十分なことが多い)
4位: カラット - 大きさは好みによる
カラーとクラリティの組み合わせ
カラーとクラリティは、それぞれ独立した評価基準ですが、バランスの取れた組み合わせを選ぶことで、より美しいダイヤモンドになります。
| カラー | おすすめクラリティ | コメント |
|---|---|---|
| D・E・F | VVS2〜VS1 | 最高グレードのカラーには、それに見合ったクラリティがおすすめ |
| G・H | VS2〜VS1 | 最も人気のある組み合わせ。バランスが良好 |
| I・J | SI1〜VS2 | カラーを抑えた分、クラリティはVS2以上がおすすめ |
内包物の種類と影響
内包物の種類による見え方の違い
同じクラリティグレードでも、内包物の種類や位置によって見た目が変わります。
目立ちにくい内包物
- ピンポイント: 微細な点状の内包物。最も目立ちにくい
- クラウド: 霞のような内包物。広がりがあるが薄く、目立ちにくい
- ニードル: 針状の内包物。細く、通常は目立たない
やや目立つ内包物
- フェザー: 羽根状の亀裂。場所によっては目立つことも
- クリスタル: 黒や白の結晶。サイズや位置次第
- キャビティ: 表面に開いた窪み。目立ちやすい
内包物の位置の重要性
内包物がどこにあるかも、見た目に大きく影響します。
内包物の位置別の影響
テーブル面中央: 最も目立ちやすい位置。できれば避けたい
テーブル面端: 比較的目立ちにくい
パビリオン部分: 石の下部。ほとんど目立たない
ガードル付近: 石の縁。爪などで隠れることも
SI1グレードを選ぶ際のチェックポイント
SI1グレードは個体差が大きいため、以下を確認しましょう:
- テーブル面中央に大きな内包物がないか
- 黒い内包物(クリスタル)がないか
- フェザー(亀裂)が石の端まで達していないか
- 実際に肉眼で見て、気にならないか
クラリティ選びでよくある質問
Q1: VS2とSI1、どちらを選ぶべき?
この2つのグレードで悩まれる方は多くいらっしゃいます。一般的には、VS2の方が安心です。
VS2は確実にアイクリーンで、どのような照明下でも内包物が見えることはありません。一方、SI1は多くの場合アイクリーンですが、内包物の位置や種類によっては、明るい場所で注意深く見ると見える可能性があります。
ただし、SI1でも優秀な個体はたくさんあります。実物を見て、内包物が気にならなければ、SI1という選択も良いでしょう。
Q2: VVS2とVS1、違いは感じられる?
正直に申し上げると、肉眼ではほぼ違いは感じられません。どちらも完全にアイクリーンで、専門家でも10倍拡大鏡なしでは内包物を見つけることができません。
VVS2とVS1の違いは、主に以下の点です:
- 将来的な資産価値(VVS2の方がやや高い傾向)
- 鑑定書上の評価(VVS2の方が上位グレード)
- 心理的な満足感(最高グレードを持っているという安心感)
見た目の美しさは変わらないので、他の要素とのバランスで選ぶと良いでしょう。
Q3: クラリティは鑑定書で確認できる?
はい、鑑定書にはクラリティグレードと内包物の位置が記載されています。GIAやCGLなどの信頼できる鑑定機関の鑑定書には、以下の情報が含まれます:
- クラリティグレード(FL、IF、VVS1、VVS2など)
- 内包物の位置を示す図(プロット図)
- 内包物の種類(Crystal、Feather、Cloudなど)
このプロット図を見ることで、どこにどのような内包物があるかが分かります。
Q4: クラリティは後から変わる?
いいえ、クラリティは基本的に変わりません。内包物はダイヤモンドが形成される際に閉じ込められたもので、後から増えたり消えたりすることはありません。
ただし、以下の点には注意が必要です:
- 表面の傷(ブレミッシュ)は、衝撃で増える可能性がある
- フェザー(亀裂)がある場合、強い衝撃でわずかに進行することも
- 定期的なクリーニングで、内包物が目立ちにくくなることがある(内包物自体は変わらない)
Q5: SI2以下のグレードは婚約指輪に使える?
SI2以下のグレードも、婚約指輪として使用できます。ただし、肉眼で内包物が見える可能性が高くなります。
SI2は個体差が非常に大きく、アイクリーンに近い個体もあれば、内包物がはっきり見える個体もあります。もしSI2を検討される場合は、必ず実物を確認して、内包物が気にならないかチェックすることをおすすめします。
I1以下のグレードは、内包物が明確に見えるため、婚約指輪としてはあまり選ばれません。
まとめ: 賢いクラリティ選び
ダイヤモンドのクラリティは、透明度を示す重要な基準ですが、カットやカラーと比べると、影響は比較的控えめです。本記事の重要なポイントをまとめます。
クラリティ選びのポイント
1. VS2が最もバランスが良い
確実にアイクリーンで、多くの方に選ばれています。迷ったらVS2がおすすめです。
2. サイズが大きくなるほど高グレードを
0.5ct以下ならSI1も選択肢。0.7ct以上ならVS2以上が安心です。
3. カットの品質が最優先
クラリティで多少妥協しても、カットを3EXにすることで、全体の美しさは保たれます。
4. SI1は実物確認が必須
SI1は個体差が大きいため、必ず実物を見て、内包物の位置と種類を確認しましょう。
5. VVS2とVS1の違いは肉眼では分からない
見た目の美しさは変わらないので、他の要素とのバランスで選びましょう。
サイズ別クラリティ早見表
| カラット | おすすめクラリティ | 許容範囲 | コメント |
|---|---|---|---|
| 0.2〜0.3ct | VS2 | SI1〜VS1 | このサイズではSI1でも十分美しい |
| 0.3〜0.5ct | VS2 | SI1〜VS1 | 最も人気のあるバランス |
| 0.5〜0.7ct | VS2〜VS1 | SI1〜VVS2 | VS2以上なら安心 |
| 0.7〜1.0ct | VS1〜VVS2 | VS2〜VVS1 | VS1以上が理想的 |
| 1.0ct以上 | VVS2〜VVS1 | VS1〜IF | VVS2以上で完璧な透明度 |
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