ダイヤモンドは完璧に透明というイメージがありますが、実際には大半のダイヤモンドに内包物や傷があります。これらは地球内部で形成される際に、高温・高圧の環境下で自然に生じるものです。
「クラリティ(Clarity)」とは、ダイヤモンドの透明度を表す基準で、内包物や傷がどれだけ少ないかを評価します。4Cの中でも特に専門的な知識が必要な項目です。
この記事では、クラリティの11段階グレード、評価基準、そして婚約指輪選びに役立つ実践的なアドバイスをご紹介します。
1. クラリティ(透明度)とは
ダイヤモンドの「欠点」を評価する基準
クラリティとは、ダイヤモンドの内部と表面の「欠点の少なさ」を評価する基準です。ここでいう欠点とは、主に以下の2種類を指します。
クラリティが評価する2つの要素
インクルージョン(Inclusion / 内包物)
ダイヤモンドの内部に含まれる他の鉱物結晶や、結晶構造の歪み、亀裂など。地中で形成される際に自然に生じます。
ブレミッシュ(Blemish / 疵)
ダイヤモンドの表面の傷、擦り傷、欠けなど。研磨の過程や取り扱いで生じることがあります。
天然ダイヤモンドには欠点があるのが自然
ダイヤモンドは地下約150〜200kmの深さで、約1000〜1300℃の高温と、5〜6万気圧の超高圧という極限環境で形成されます。
このような過酷な条件下で結晶化するため、他の鉱物が混入したり、結晶構造に歪みが生じたりするのは自然なことです。むしろ、内包物は天然ダイヤモンドの証とも言えます。
完全無欠のダイヤモンドは極めて稀
10倍拡大しても内部・外部ともに一切の欠点が見られないダイヤモンド(FLグレード)は、全ダイヤモンドの1%未満と言われています。宝石商でも一生に一度も見たことがない人が多いほど希少です。
2. クラリティの11段階グレード
GIA(米国宝石学会)の国際基準
クラリティは、GIAが定めた6つの大カテゴリー、11段階のグレードで評価されます。評価は10倍のルーペで拡大観察して行われます。
| カテゴリー | グレード | 説明 |
|---|---|---|
| Flawless (無欠点) |
FL | 10倍拡大で内部・外部ともに欠点なし |
| IF | 10倍拡大で内部は無欠点、外部に極微細な疵のみ | |
| Very Very Slightly Included (ごくごくわずかな内包物) |
VVS1 | 10倍拡大でも発見が極めて困難な微小な内包物 |
| VVS2 | 10倍拡大でも発見が困難な微小な内包物 | |
| Very Slightly Included (ごくわずかな内包物) |
VS1 | 10倍拡大で発見がやや困難な小さな内包物 |
| VS2 | 10倍拡大で発見できる小さな内包物 | |
| Slightly Included (わずかな内包物) |
SI1 | 10倍拡大で容易に発見できる内包物 |
| SI2 | 10倍拡大で容易に発見でき、注意深く見れば肉眼でも確認できることがある | |
| Included (内包物あり) |
I1 | 肉眼で内包物が確認でき、輝きや透明度に影響 |
| I2 | 肉眼で内包物が明確に確認でき、輝きや耐久性に影響 | |
| I3 | 肉眼で内包物が顕著に確認でき、透明度・輝き・耐久性に大きく影響 |
各グレードの詳細
FL(Flawless / フローレス)
最高グレード。熟練の鑑定士が10倍に拡大しても、内部・外部ともに一切の欠点を発見できません。全ダイヤモンドの1%未満という極めて希少なグレードで、市場にはほとんど流通しません。
FLでも許容される特徴
完全無欠と言われるFLですが、以下は欠点とみなされません:
- 反射性がなく、透明度を阻害しない内部グレーニング(成長線)
- 極めて微細で、ダイヤモンドの識別に役立つ微小な特徴
IF(Internally Flawless / インターナリー・フローレス)
内部は無欠点、外部に非常に微細な疵のみが確認できる最高級グレードです。表面の疵は顕微鏡レベルでやっと確認できる程度で、FLに次ぐ希少性があります。
VVS1・VVS2(Very Very Slightly Included)
10倍拡大でも発見が極めて困難(VVS1)、または困難(VVS2)な微小な内包物があります。肉眼では全く確認できず、婚約指輪として十分に高品質なグレードです。
VS1・VS2(Very Slightly Included)
10倍拡大で発見できる小さな内包物がありますが、肉眼では確認困難です。VS1は発見がやや困難、VS2は比較的容易に発見できます。婚約指輪で最も人気のある実用的なグレードです。
SI1・SI2(Slightly Included)
10倍拡大で容易に発見できる内包物があります。SI1は肉眼では見えにくいですが、SI2は注意深く見ると肉眼でも確認できることがあります。予算を抑えたい場合の選択肢ですが、SI2は品質のばらつきが大きいため注意が必要です。
I1・I2・I3(Included)
肉眼で内包物が確認でき、ダイヤモンドの透明度や輝きに影響します。I2・I3では耐久性にも影響する可能性があります。婚約指輪には通常推奨されません。
3. クラリティグレードを決める評価基準
5つの主要な評価項目
クラリティグレードは、以下の5つの要素を総合的に評価して決定されます。
1. サイズ(Size)
内包物や傷の大きさ。大きいほどグレードが下がります。
2. 数(Number)
内包物や傷の数。多いほどグレードが下がります。微小でも集中していると目立ちます。
3. 位置(Position)
内包物の位置。テーブル面中央にあるものは目立ちやすく、グレードが下がります。端やパビリオン側にあるものは比較的目立ちにくくなります。
4. 性質(Nature)
内包物の種類。フェザー(亀裂)は耐久性に影響するため、特に重要視されます。
5. 色・レリーフ(Color & Relief)
内包物の色と輪郭の明瞭さ。黒色や緑色など、色のついた内包物は目立ちやすく、グレードが下がります。
主な内包物の種類
ダイヤモンドに含まれる代表的な内包物には以下のようなものがあります。
- クリスタル(Crystal) - 他の鉱物の結晶
- クラウド(Cloud) - 微小な内包物の集合体で、雲のように見える
- フェザー(Feather) - 羽のように見える亀裂。大きいと耐久性に影響
- ノット(Knot) - ダイヤモンドの表面まで達した結晶
- ピンポイント(Pinpoint) - 針の先ほどの微小な点状の内包物
4. クラリティと価格の関係
グレードごとの価格差
クラリティグレードが1つ上がるごとに、価格は約10〜20%上昇します。特にVVS以上のグレードでは価格上昇率が大きくなります。
0.5ct ダイヤモンドの価格例(他の条件が同じ場合)
| クラリティグレード | 参考価格 | VS1との差 |
|---|---|---|
| FL | 約900,000円 | +400,000円(+80%) |
| IF | 約750,000円 | +250,000円(+50%) |
| VVS1 | 約600,000円 | +100,000円(+20%) |
| VVS2 | 約550,000円 | +50,000円(+10%) |
| VS1 | 約500,000円 | 基準 |
| VS2 | 約450,000円 | -50,000円(-10%) |
| SI1 | 約400,000円 | -100,000円(-20%) |
| SI2 | 約350,000円 | -150,000円(-30%) |
※価格は目安です。カット、カラー、カラット、鑑定機関により変動します。
カラットが大きいほど、内包物は目立ちやすい
同じクラリティグレードでも、ダイヤモンドが大きくなるほど内包物は発見しやすく、目立ちやすくなります。
0.3ct以下の小さなダイヤモンドでは、SI1でも内包物がほとんど気になりません。しかし1ct以上の大粒ダイヤモンドでは、VS2以上が推奨されます。
5. 婚約指輪に適したクラリティグレード
VS1〜VS2が最もバランスが良い
婚約指輪には、VS1またはVS2グレードが最も人気があります。肉眼では内包物が見えず、価格も比較的抑えられるため、コストパフォーマンスに優れています。
用途別の推奨グレード
最高品質を求める場合
VVS1〜VVS2。肉眼では全く内包物が見えず、投資価値も高い。
品質と価格のバランス重視
VS1〜VS2。最も人気があり、実用的な選択。
予算を抑えたい場合
SI1。注意深く選べば、肉眼で内包物が見えないものも多い。
SI1を選ぶ際の注意点
SI1グレードは、同じグレード内でも品質のばらつきが大きいことが特徴です。
SI1選びのチェックポイント
- 内包物の位置 - テーブル面中央を避ける
- 内包物の種類 - フェザー(亀裂)が大きくないか確認
- 内包物の色 - 黒色の内包物は目立ちやすい
- 実物確認 - 必ず店頭で肉眼確認する
SI2以下は、婚約指輪には通常推奨されません。肉眼で内包物が見えやすく、輝きにも影響する可能性があります。
6. クラリティ選びでよくある誤解
誤解1:「クラリティは最も重要」
実は、4Cの中で輝きに最も影響するのは「カット」です。VVS1のダイヤモンドでも、カットが悪ければ輝きは弱くなります。
正しい優先順位
1. カット - 輝きに直結。最優先すべき要素
2. カラー - 肉眼で判別しやすい
3. クラリティ - VS以上なら実用上問題なし
4. カラット - 予算に応じて調整
誤解2:「FL・IFでないと婚約指輪にふさわしくない」
FL・IFは確かに最高グレードですが、VVS〜VSでも肉眼では全く内包物が見えません。実用上の差はほとんどなく、むしろ予算を他の要素に振り分ける方が賢明です。
誤解3:「内包物があると壊れやすい」
SI1以上のグレードであれば、通常の使用で問題が生じることはほとんどありません。ただし、大きなフェザー(亀裂)がある場合は、強い衝撃で割れるリスクがあるため注意が必要です。
7. akira Jewelry 千葉でのクラリティ選びサポート
実物での確認が最も重要
クラリティグレードは同じでも、内包物の位置や種類によって見た目は大きく異なります。akira Jewelry 千葉では、様々なグレードのダイヤモンドを実際にご覧いただけます。専門スタッフが丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
4Cのバランスを考慮したご提案
クラリティだけでなく、カット、カラー、カラットのバランスを考慮し、お客様のご予算とご希望に合わせた最適なダイヤモンドをご提案しています。
8. まとめ:賢いクラリティ選び
クラリティ選びで最も大切なのは、「完璧を追求しすぎない」ことです。
賢いクラリティ選びの5つのポイント
- VS1〜VS2で十分 - 肉眼で見えず、価格も手頃
- カットを最優先 - クラリティよりカットが輝きに直結
- カラットを考慮 - 小さなダイヤモンドほど内包物は目立たない
- SI1は慎重に - 内包物の位置・種類を必ず確認
- 実物を見て決める - グレードだけでなく、実際の見た目で判断
多くの方がVVS以上のグレードを希望されますが、実際にはVS1〜VS2で十分美しく、その価格差を他の要素(カットの品質向上、カラットアップなど)に投資する方が、満足度の高いダイヤモンドを選べます。
最も重要なのは、4C全体のバランスと、あなた自身が実際に見て美しいと感じるかどうかです。
akira Jewelry 千葉では、一人ひとりのご希望に合わせて、最適なダイヤモンド選びをサポートしています。専門スタッフが丁寧にご説明しますので、お気軽にご相談ください。